フルトヴェングラーの同演異盤CDを探訪する


by Furtwanglercd
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フルトヴェングラー ザ・グレートEMIレコーディングス

d0135647_2151825.jpgフルトヴェングラー
Great EMI Recordings(以下GER)
ザ・グレートEMIレコーディングス
21枚組
SACDシリーズのためにおこなわれたリマスター音源よりのCD。

格安で、しかも劣悪リマスターではなく、一定水準のリマスターで、巨匠のすばらしい演奏を聴けるのは意義のあることだろう。

レコード芸術2月号に試聴記あり。
SACDの音質について。一部を抜粋。
「(従来のCDに聴く)硬さ、圧迫感はない。音は瑞々しく、透明感があり、初めて聴くような新鮮な印象。」
「自然なバランスがある。(他のリマスターと比べて)おとなしく感じられるが、やりすぎていない分、安心感がある。」
「低域の実在感が高まった。弦楽器群がしなやかで浸透し、高域を広げなくても、ヴァイオリンの旋律が自然に浮かび上がる。」

ベートーヴェン 7番について、歌崎氏の音質比較より抜粋。
「94年に出たメモリアルシリーズと03年のart盤を聴いたが、高域が細い上に十分に伸びない94年盤に対して、art盤はより伸びやかで、中域以下も響きが整理されて細部が見やすくなっている。しかし今回の新発見テープからの音は多少ハイ上がりで、高域が細身になる印象はあるが、CD層もレンジが拡大して音の鮮度も随分良くなっている。中低域以下のエネルギー感も増して演奏がより手厚く充実するとともに、緩急の変化や表現の起伏がより明快にしなやかに伝わるし、artでも残っていた中低域のゴロゴロノイズがないのも大変有り難かった。SACDではレンジやSN比とともに、音の鮮度がさらに上がって切れ味が増し、演奏が一段とスケールアップする。」

artよりも音は豊かで実在感はある。
2007年のEMI MUSIC JAPAN TOCE-55975/80国内盤は不自然な音だっただけに、そのような不自然さはない。
イタリアEMIのような、やりすぎの華やかさ華々しさもない(イタリアEMIは低域がかなりぼやける)。
(また、HS-2088(いわゆるオカザキ)リマスターはドンシャリの荒れた音。)

それらのリマスターに比べれば、「自然」な音のリマスターであろう。
適度な空間に迫力ある音が鳴る。
低域の音はぼやけず、不自然な突出もない。
確かに、高低を広げなくても、高低を密度ある音で聴け、高低の「バランス」はあり、「やりすぎていない」。

「高域は広げなくても」とあるように、最高域は頭打ちで、浮揚する高音の音色は聴けない。Vcはドライな音。
ベートーヴェンの「第1番」、「田園」、「第7番」で聴きたい高域の浮揚する音には限界がある。
音に力強さはあるが、臨場感、空気感など、音響空間はあまりない(「バイロイトの第9」、ブラームスの交響曲での聴衆のノイズはよく聴こえるのだが)。
音の背後の空間は感じられず、平板平面的ではないだろうか。
CEDERを使っているリマスターCDの音は迫力があるが平面平板な「音」になってしまうように感じるのだが、同様の傾向か?
工程が多ければ、その分、原音からは遠くなる。

ベートーヴェン
「英雄」
・TOCE-7530(TOCE-7530/34全集):軽度なステレオ・プレゼンス。厚化粧したような音ではあるが、音は厚く、高域の伸びと広がりは抜群。
・GER:楽器の音は瑞々しく、音に力がある。高域、低域それぞれの幅は広くはなく、最高域への伸びや広がりはない。低域の不自然な突出はなく、音に密度がある。
・DELTA DCCA-0061:盤越し+「第2世代」技術によるノイズ軽減。
各楽器のまとまりと分離が良く、高低の対比が鮮明。単なる「音」ではなく、音響空間が再現され、本来の情報量が多い。
DELTAの「第2世代」復刻のすばらしさが、際立つことになる。

「第5番」
・GER
・DELTA DCCA-0048
「英雄」同様。

「第7番」
・TOCE-7532(TOCE-7530/34全集):第4楽章 3:18-23、3:28-30に女声混入。
ゴロゴロというノイズは大きいが、その分、楽器の音は瑞々しく生々しい。
・GER:第4楽章 3:18-19 軋むような音。3:27-29に異音(女声?)あり。
女声混入のない「オリジナルマスターテープ」ではない。
ゴロゴロというノイズ持続。音に力があり、音源の良さはわかる。Vnの最高音とVcはドライ。
・DELTA DCCA-0072:「英雄」同様。

ブラームス
「第1番」
・CC30-3357/60:ワイドレンジ、ダイナミックレンジが広い。音はふくよかで柔らかい。Vnはどこまでも浮揚するようにすばらしい。
・Electrola: CC30-3357/60ほどではないが、同傾向。
・GER:音に密度はあるが、高域は頭打ち。Vnはキンキンする。

「第2番」、「第3番」
・CC30-3357/60:ワイドレンジ、ダイナミックレンジが広い。音はふくよかで柔らかい。
・Electrola: 冒頭の軋む音など、臨場感と空気感ある空間に広がる豊かな音。
・AUDITE:音は細く味気ない。ドライな音。
・GER:臨場感や空気感は希薄。

「第4番」
・CC30-3357/60:ワイドレンジ、ダイナミックレンジが広い。音はふくよかで柔らかい。
・Electrola: CC30-3357/60ほどではないが、音はふくよかで柔らかい。
・AUDITE、こもった音で、マスクされており歯切れが悪く、暗い音。演奏はわかるが、楽器の音がしない。ノイズカットで楽音と空間を削ぎ落としている。
・GER:音に力と迫力がある。Vnの線が細い。高域はドライ。
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by FurtwanglerCD | 2011-01-22 23:59 | 2011