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フルトヴェングラーの同演異盤CDを探訪する


by Furtwanglercd
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1953.5.30とされる新発見の「第9」

1953.5.30とされる新発見の「第9」_d0135647_12353258.jpgフルトヴェングラー
/ウィーン・フィル
1953.5.30
ムジークフェラインでのライブ

(S)ゼーフリート
(A)アンダイ
(T)デルモータ
(B)シェフラー
ウィーン楽友協会合唱団

ドリームライフ
RIPD-0003(HQCD仕様)

各楽章の演奏時間(5月31日の演奏と比べて第3楽章は速く、第4楽章が遅い)、
第1楽章、295-296小節(再現部前)のTiの4打(9:32)、
第4楽章、207小節、Tiの16分音符4打が、5月31日の演奏には入っていない(奏者のミスのようだ)が、この演奏には入っていること、
などから、5月31日の演奏(日本協会、HUNT、DG、ALTUS、MEMORIESなど、5月30日表記のものもあり)とは別演奏とされている。

演奏から受ける印象も、5月31日の演奏とは異なる。
5月31日の演奏は、当演奏よりも各フレーズの彫が深く、よりスムーズで直情的、劇的である。
これに対して、今回の演奏は、安全運転というか、そうした面は少ない。その分、音は丹念に丁寧に置かれている。巨匠はタクトを丁寧に振り、オーケストラも丁寧に応じていると感じる。

第3楽章、5月31日の演奏よりも各フレーズの彫が浅いので、平凡な印象を与えるかもしれないが、丹念に丁寧に音が置かれて行く。
Trpのファンファーレ1回目の後の高揚も5月31日の演奏ほどではないがあり、
ファンファーレ2回目以後の、大きく羽ばたかせるような歌は巨匠ならではである。
第4楽章、コーラスはマイクの位置によるのか男声が小さいが、女声は美しく聴こえる。
最後のコーラス以降のパーカッションが巨匠の他の第9以上に明瞭に聴こえ、それらにも神経が行き届いているのがわかる。
この演奏も、完成度の高いものと言えるだろう。

山野楽器Varie 川上剛太郎氏の文章より 
「今回の30日版は、オリジナルテープの無編集のおかげで、バランスのとれた自然さが残され、「フルトヴェングラーが帰ってきた」という聴衆の喜びさえ感じられるホール全体の気配が伝わってくる。その演奏は生々しく美しく響き、フルトヴェングラー・VPO・歌手の高揚感は見事でダイナミックの幅も大きい。例えば、第1楽章の再現部に雪崩れ込むクレッシェンドではティンパニーは待ちきれないが如く295小節より4打しており、漸くディミヌエンドする為の337小節の気締めのsfの巧打も良かった。後者が聴けるのは13種を数えるフルトヴェングラーの「第9」の中では今回と、メロディア収録(1942年のベルリン・フィル)だけである。」

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by furtwanglercd | 2009-02-04 12:35 | Beethoven Sym.9