ブルックナー:交響曲第8番 1949.3.15 KING
2008年 09月 01日
1949.3.15
ティタニア・パラストでのライブ
同曲演奏に限らず、フルトヴェングラーのブルックナーについては、
「急激なテンポ変化は曲想を破壊する」、
「ブルックナーの本質を天界から人間界に引きずり降ろす」、
「余りにも人間的な葛藤とドラマ」、
「旋律を締め付けすぎる」、
と酷評される。
それらはアッチェレランドのみに注目しての一面的な評価ではなかろうか。
当演奏における、第1楽章の各主題が懐深いところから「生成」され、ゆったりと紡がれて行く様、その後アリアのように美しく歌われて様はどうだろう。
ブルックナー指揮者の他のだれよりも慈悲深く滋味深いではないか。
第3楽章第2主題及び、コーダのだれよりも遅いテンポでの繊細な美しさ。
アッチェレランドは、ダイナミズムの極大な変化を図る手段の一つにすぎず、そのテンポ設定とテンポの変化は決して、曲の構成を傷つけることを意図されてはいない。
ピーター・ピリーは、フルトヴェングラーの同曲演奏を「当代最高のもの」と評価している。
KING KICC-2352の山野雄大氏解説より
「第8番の数ある演奏の中で、フルトヴェングラーのそれは最高の部類に属する。壮大な構成の全てを見通しながら細部を造形し、巨大な音世界を揺るぎなく構築してゆく、その確信に満ちたパースペクティブには言葉を失う。たゆまず、崩れず、ひたすら緊張を保ち続け、時の怒涛のように吠え響きながらも引き締まったテンポの中に昇華される推進力、そして時に深く内省的な呟きを洩らしながらも弛緩しないぎりぎりの所で踏みとどまって響く「うた」、この幅広さこそがフルトヴェングラーの示した真骨頂であっただろう。
KING
KICC-2352
MUSIC&ARTSの音源。
意外にも音は良い。HUNTは、中程度のステレオプレゼンスで音に厚みと迫力があるが、デジタル的でVcはざらつき、Vnはカサついた音色になる。
当盤は、自然で臨場感ある音で、音の密度と迫力はHUNTに引けをとらない。
同演異盤CD比較(改訂) 3月15日演奏
1.HUNT ◎
2.KING ◎
3.EMI 歴史的ブルックナー録音集 △
4.ドイツ協会 ×
5.MUSIC&ARTS ×
6.SERENADE △
7.ARCHIPEL ×
*上記以外のEMIは、3月14,15日の編集
TESTAMENTのみ3月14日演奏